株式会社J-POWERビジネスサービス

株式会社J-POWER ビジネスサービス:広域需給調整プログラムMR

Gurobi Optimizerを基盤とした広域需給調整プログラム「MR」を開発。再生可能エネルギーやEVの普及を見据えた複雑な電力需給シミュレーションを高速に実現しました。

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導入事例

Gurobi + 株式会社J-POWERビジネスサービス

分野

Power and Utilities

国内

Asia

Website

jpbs.co.jp

解決すべき課題

広域需給調整プログラムMRは、将来を想定した電力需給模擬を実現するプログラムです。 MRでは、再生成可能エネルギー発電の大量導入にも対応しつつ、考慮すべき様々な制約(例:エリアごとの需給バランス、各発電機の出力上下限、揚水の池容量など)を考慮しながら、燃料費最小化を目指した1年間(365日分)のシミュレーションを実現しています。MRは、将来のEV車の普及も視野に入れた不確定な状況に対して想定される多数のシナリオを想定しながら、高速に解析・評価を行うための機能を提供しています。

Image of input and output of wide-area supply and demand adjustment program[/caption]


MR開発背景とその機能

私は、Gurobi Optimizerを採用した広域需給調整プログラムMR(Multi area Regulation Program)の設計から開発までを、担当しています。広域需給調整プログラム(MR)の誕生の背景ですが、東日本大震災後、電力システムを取り巻く環境が大きく変化したことが大きな要因です。震災後は、原子力への依存度が減り、再生可能エネルギーが格段に増え、電力解析の条件がまったく変わってしまいましたので、新たな需給調整機能が必要になりました。

当社は、電源開発計画プログラムであるESPRIT(EPDC System Planning Program Reflecting Interconnection & Transmission)を長年使用してきましたが、震災後、従来のモデルでは、このような変化に対応ができない状況になりました。

当初は、ESPRITの機能を拡張して対応していましたが、それも限界となり、新たなモデルを開発しようということになり、広域需給調整プログラム(MR)の開発が始まりました。 以前のモデルでは、計算対象期間を1か月単位で区切って1か月ごとのシミュレーションを行っていましたので、時間で大きく変化する再生エネルギーへの対応ができなくなっていました。それを解決するためにMRでは、1年間(365日)を対象に1時間メッシュで計算するモデルを採用しています。

Target area of ​​8760 hours of supply and demand analysis Trends & Technology “Electricity supply and demand analysis as a tool for thinking about 3E” Part 1 Excerpt from the article written by Kazuhiko Ogimoto, Specially Appointed Professor, Institute of Industrial Science, the University of Tokyo[/caption]


複数のEV 利用パターン模擬にも対応した幅広い時間領域に対する調整力に対応

OCCTO(電力広域的運営推進機関)では、非常に速い時間領域から比較的遅い時間領域を5種類の時間領域(ある一定の時間内に発電する電力量の変化)として定義しています。MRでは、OCCTOで定義された4つの時間領域(遅いほうから4つ)に対応する調整力機能を実装しています。気象現象に大きく依存する太陽光発電や風力発電などは1秒単位で変動はしません。この調整力機能とは、気象条件が急変しても10分位の幅がありますので、このような再生可能エネルギーの周波数変動に対応した機能のことです。

慣性力調整にも対応しています。慣性力調整とは、火力発電では、お湯を沸かして、その蒸気でタービンを回転させ発電機を回転し発電していますので、発電機を停止させても太陽光発電とは異なり直ちに発電は終了せずに、徐々に回転が落ちていき停止します。つまり回転が止まるまでは発電を行い徐々に発電を終了します(慣性:外力が働かなければ、物体はその運動状態を保つという性質)。

再生可能エネルギーは、CO2を発生しないというメリットはありますが太陽光発電などはインバータ(直流または交流から、周波数の異なる交流を発生させる(逆変換する)電源回路、またはその回路を持つ装置)を通して送電しているため、機器故障があった場合には瞬時に電力を失ってしまいます。これを避けるため系統には慣性力を持った発電設備も一定量必要になりますので、MRには慣性力を計算できる機能も実装されています。

さらに、最近普及が増加してきているEV車での充放電特性にも対応しています。EV車は、休日のみ利用される家庭用EV車、通勤に使用するEV車、営業用に使用されるEV車により、充放電のパターンが異なります。MRでは、1エリアに15パターンのEV車が配置された事を考慮したシミュレーションにも対応できるようになっています。

エリア内での送電線の系統をシミュレーションする機能も実装しています。例えば、太陽光発電の関連企業では、太陽光に関する数値設定を変えることにより、送電線の混雑による影響がどの程度あるか等のシミュレーションとしてもMRを利用できます。


MRの普及に向け

MRの普及に向けて、東京大学生産技術研究所エネルギーシステムインテグレーション社会連携研究部門(ESI)にて、研究メンバーとして参画している団体や企業の方々にMRを利用して頂いています。今後、電力需給の多様化、複雑化を見据え、将来的にはクラウド上でMRをサービスとして展開し、幅広いユーザ層の方々が手軽に利用できるようにしていきたいと考えています。


Gurobi Optimizer導入効果と将来への期待

当社では、電力需給分野において、1980年代からいろいろな検討を始め、1990年初頭からESPRIT を開発しています。2000年代後半からはGurobi Optimizerが市場に出現しましたので、日本のエネルギー業界においていち早くGurobi Optimizerを、発電機起動停止計画(ユニットコミットメント)に採用しました。

このように当社は、長年の間に蓄積された数理最適化技術に関する知識や経験から、Gurobi Optimizerの高いパフォーマンスをよく理解していたので、Gurobi OptimizerをMRにおいても採用しよう、ということになりました。 Gurobi Optimizerにより、10年、20年前には解くのに一晩かかっていたような問題が、現在では1分くらいで解けるようになってきています。Gurobiが出現するまでは、当社は内製のアルゴリズムを採用していましたので、このような大規模な問題を実用的な時間で計算することができませんでした。Gurobiの採用により、内製のアルゴリズム開発と比較した場合、倍以上の開発効率を実現する事もできています。

現在の計算時間は、発電機600台、1日(1時間メッシュ)単位の最適化、365日分の計算で、約一晩で最適解を求める事が出来ます。今後、再生可能エネルギーの導入がさらに普及してきます。それに伴い、追加すべき新しい制約も多々発生するため、システムがさらに複雑化していくであろうことが想定されますので、複雑に絡み合う難しい要件においても高速に解が求められるよう、Gurobiの更なる高速化を期待しています。


数理最適化技術を導入へのアドバイス

私の経験からですが、モデル化(定式化)は、ある程度の数学的知識があれば誰にでもできるかもしれませんが、深い業務知識があることで、さらに効率的な良いモデルを構築できると思います。このような知識と経験を通じて、Gurobi Optimizerを様々分野で使いこなすユーザが増えていってもらいたいと思います。このような経験が多数あれば、様々なモデルを標準的なテンプレートとして用意することもできると思いますので、数理最適化の初心者であってもGurobi Optimizerを短期間で使いこなせるようになるかと思います。


株式会社J-POWER ビジネスサービス
電力技術部 電力技術グループサブリーダー
東 仁氏

私は、JP ビジネスサービス入社後ESPRIT の初期の段階から開発に従事しており、ESPRIT の開発を通じて、組み合わせ最適化など最適化技術は常に身近な存在でした。また長年の間、需給解析業務を担当していましたので、これら問題を解決すべくMR の責任者として、本製品の主担当となりました。Gurobi Optimizer を採用することで、MR の基本機能の開発はわずか2 か月間で完了しました。もし、この部分を自社開発していたら、開発にはこの数倍の時間が必要になり、また、パフォーマンスもGurobi Optimizer には遠く及ばなかったと思います。

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