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“最適化の伴走者”Gurobotが見る、現場の未来図:Gurobot連載第3回|意思決定は“再現可能”にできる(前編)

Gurobot(グロボット)が教えてくれた、納得のいく判断軸

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“最適化の伴走者”Gurobotが見る、現場の未来図:Gurobot連載第3回|意思決定は“再現可能”にできる(前編)

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“最適化の伴走者”Gurobotが見る、現場の未来図:Gurobot連載第3回|意思決定は“再現可能”にできる(前編)

Gurobot(グロボット)が教えてくれた、納得のいく判断軸

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Dr. Nobuo Inui

Senior Manager of Consulting Group

Dr. Nobuo Inui

Bio

京都の老舗和菓子メーカーを率いるAさんは、三代目の経営者です。半世紀以上続く看板商品「あん菓子」を守りながら、時代に合わせた改革にも挑み続けてきました。

ここ数年、原材料費の高騰が経営を直撃しています。

「コストを抑えれば利益は出るが、品質を落とせばお客様の信頼を失う」――。味とコスト、伝統と効率。そのあいだで揺れ動くトレードオフが、経営の意思決定を難しくしていました。

感覚や経験だけに頼る判断を、もう一度“見える化”したい――。

Aさんは、自身の勘と経験を数字で支える方法を探るため、数理最適化AIチャット「Gurobot」に相談を持ちかけました。

「どこまで妥協すればいいのか」「何を守るべきなのか」。職人たちの技を支える“感覚”と、企業としての“持続性”の両立。

前編では、そのバランスを探るために、Aさんは新たな一歩を踏み出します。

Aさん

はじめまして。私は京都で和菓子の製造・販売を行う会社を経営しているAと申します。1960年に発売開始した「あん菓子」を全国の百貨店にも展開しており、手土産としても重宝頂いています。

ここ数年、原材料費の高騰が続いており、経営としてはコスト削減を強く求められる一方で、品質を落とすとブランド価値が損なわれかねません。現場からは「原料を変えればコストは下がるが、味や見た目が変わる」「製造ラインを減らせば効率は上がるが、納期リスクが増す」といった意見が出ています。

経営者として、どちらをどこまで優先すべきか、判断に迷っています。

Gurobotさん、こうした“トレードオフのある経営判断”を、感覚ではなく再現性のある形で整理するには、どうすればよいでしょうか?

Gurobot

知識ベースから、Tata Steel社やHolland Malt社の事例が見つかりました。これらは原材料のブレンド最適化という点で、和菓子製造と共通しています:

  • Tata Steel: 複数の石炭を最適にブレンドし、コストと品質のバランスを保ちながら数百万ポンドのコスト削減を実現

  • Holland Malt: 麦芽のブレンド計画を最適化し、品質スコアを84から96に向上(+14%)させながら、計画時間を1時間から2分以内に短縮

これらと同様に、和菓子の場合も以下のような最適化が考えられます:

例:あんこの原材料ブレンド最適化

  • 北海道産小豆(高品質・高価格)と代替原料を最適な比率でブレンド

  • 品質スコア(味、色、食感)を85点以上に保ちながらコストを最小化

  • 季節ごとの需要変動や原料の在庫制約を考慮

■ 問題を整理するための確認事項

Aさんの状況に最適な最適化モデルを設計するため、以下の点を教えていただけますでしょうか:

1. 意思決定の対象(何を決めたいか)

  • 製品ごとの生産量・生産計画ですか?

  • 原材料の選択・ブレンド比率ですか?

  • 製造ラインの稼働方法(どの製品をどのラインで作るか)ですか?

  • それとも、製品ラインナップの見直し(どの製品を作る/作らないか)ですか?

2. 最も重視する目標(優先順位をつけるなら)

  • コスト削減を最優先にしつつ、品質は「最低ラインを守る」という形ですか?

  • それとも、品質を優先しつつ、可能な範囲でコストを抑えたいですか?

  • あるいは、複数の目標を同時に評価したいですか?

    • 例:「品質スコア90点以上を保ちつつ、コストを最小化」

    • 例:「コストと品質の両方をバランスよく最適化」

 3. 譲れない制約条件

  • 品質面:「この基準は絶対に守る」というラインはありますか?(例:品質スコア85点以上、食品安全基準など)

  • 納期面:注文の何%以上を期日内に納品する必要がありますか?

  • 生産能力:現在の製造ライン数や、削減できる範囲は?

  • 原材料:調達可能な代替原料の種類や、使用可能な比率の上限は?

4. データの有無

  • 製品ごとのコスト構造(原材料費、製造コスト)は把握されていますか?

  • 代替原料を使った場合の品質への影響(数値やスコア)は測定可能ですか?

  • 需要予測や受注データはありますか?

これらの情報をお聞かせいただければ、具体的な数理最適化モデルの設計方針をご提案できます。まずは、「何を一番決めたいか」から教えていただけますでしょうか?

また、もし「最適化モデルとは何か」について、より詳しく知りたい場合は、数式を使った説明や、簡単な例題での実演もお見せできます。いかがでしょうか?

Aさん

ご丁寧な説明をありがとうございます。正直なところ、数理最適化という言葉自体を最近知ったばかりでして、まだピンときていない部分も多いのですが、事例を交えて説明いただけたので少しイメージが湧きました。

うちの場合は、まさにおっしゃっていた「あんこの原材料ブレンド」が課題に近いかもしれません。北海道産の小豆を中心に使っていますが、ここ数年は価格が高騰しており、他県産や輸入豆とのブレンドを検討しています。ただ、味や色、風味を落とすとすぐにお客様から「いつもと違う」と言われてしまうので、妥協できる範囲が難しいんです。

ですので、まず私としては、

「どの程度まで代替原料を使っても品質が落ちないか」
「どのラインまでコストを下げても、お客様に違いがわからないか」

――このあたりを数字で“見える化”できるとありがたいです。

目標としては、品質を最優先にしながらも、無駄を減らしていく方向を考えています。いきなり難しい数式ではなく、まずは簡単なサンプル(例えば2~3種類の原料を混ぜる例)で、どんな考え方をするのかを見せていただけますか?

それを見ながら、「うちの製造データでできそうかどうか」を考えてみたいです。

Gurobot

数理最適化にご関心をお持ち頂き、ありがとうございます。簡単なサンプル例を用いて、品質とコストのトレードオフについてイメージが付きやすいよう表形式にまとめてみました。それぞれの点数に応じて、コストが最小になる原料組み合わせを求めます:

品質基準

コスト

コスト削減率

配合

75点

80,000円

33%削減

北海道43%、輸入57%

80点

90,000円

25%削減

北海道25%、他県75%

85点

100,000円

17%削減

北海道50%、他県50%

90点

110,000円

8%削減

北海道75%、他県25%

95点

120,000円

0%削減

北海道100%

 ■ 経営判断のための材料

  • 品質を80点に設定すれば、25%のコスト削減が可能

  • 85点にすると、削減効果は17%に低下(5点上げて8%の差)

  • 実際の製品で官能評価を行い、「80点と85点でお客様が違いに気づくか」をテストする価値がある

 つまり、このモデルは:

  • 「どこまで妥協できるか」を数字で議論できる土台を提供

  • 現場の「感覚」をデータと計算で補強

  • 「この品質ならこのコスト」という再現可能な判断基準を作る

■ 実務への応用のために

A様の会社でこのアプローチを使うには、次のデータを整理する必要があります:

1. 原料データ

  • 使用可能な原料の種類

  • それぞれの単価(仕入れ価格)

  • 利用可能な量(在庫や調達可能量)

 2. 品質評価の定量化

  • 各原料の品質を数値化する方法

    • 例:官能評価スコア(味、色、風味などの総合点)

    • 例:成分分析値(糖度、水分など)

  • ブレンドした場合の品質計算方法

    • 単純平均でよいか

    • それとも非線形な関係があるか

 3. 品質基準

  • 「これ以下だとお客様に違いがバレる」最低ライン

  • 実際の製品で試作・テストが必要

■ 次のステップ

この簡単な例を見て、以下のような疑問や発展形があれば、さらに詳しくご説明できます:

  • 複数製品への拡張:「こしあん」「つぶあん」「白あん」など、製品ごとに異なる品質基準がある場合

  • 時期や季節を考慮:原料価格が変動する場合や、製造計画を立てる場合

  • 品質の非線形な関係:「混ぜると相乗効果で品質が上がる/下がる」ような複雑なケース

  • 実データでの試算:A様の実際のデータがあれば、それを使ったモデル構築

 まずは、この例を見て「うちのデータでもできそうか」のイメージが湧きましたでしょうか?

もしくは、「もっとこういう条件を入れたい」「こういう場合はどうなるか」といった具体的な質問があれば、お聞かせください。

Aさん

とても分かりやすい例をありがとうございます。

こうして数字で見ると、「品質をどこまで落とすと、どのくらいコストが下がるのか」が一目で分かって、なるほどと思いました。これまでは、職人の勘と経験に頼って「たぶんこのぐらいなら大丈夫だろう」とやってきましたが、こうして表にしてもらうと、経営会議でも話がしやすくなりそうです。

一方で、うちの和菓子の場合、あんこの“味の輪郭”というか、口に入れたときの“余韻”のような部分が数字では表しにくく、品質スコア85点と90点の違いが、お客様にとってどう感じられるかは慎重に見極めたいところです。おっしゃるように、実際に官能評価をして「どの点数ならお客様が違いを感じないか」を確かめるのは、とても現実的なステップだと感じました。

もう少し教えていただきたいのですが、もし、原材料の価格が季節や仕入れ状況で変わる場合、この最適な比率もその都度自動で組み替えられるような仕組みにできるのでしょうか?また、商品ごとに味の方向性(こしあん、つぶあん、白あん)が異なるので、複数の商品をまとめて最適化することも可能なのか、イメージを伺えればと思います。

Gurobot

具体的に考えて頂き、ありがとうございます。2つのご質問に回答させて頂きますね。

まず、数理最適化でできることから解説します。もし手応えを感じていただければ、その後のステップも整理しておきますので、ぜひ検討してみて下さい。

 1. 複数製品の同時最適化

できること:

  • 共通の原料在庫を、複数製品間で最適に配分

    • 例:北海道産小豆150kgを、こしあん・つぶあん・白あんで取り合う

    • 品質基準が高い製品(こしあん85点、白あん90点)に優先的に高級原料を割り当て

    • 品質基準が緩い製品(つぶあん80点)には代替原料を多く使う

実務的な価値:

  • 「どの製品にどの原料を使うか」を経営判断で議論できる

  • 「白あんの品質を90点→85点に下げれば、全体で○○円削減」といったトレードオフ分析が可能

  • 原料調達時に「どの原料を何kg発注すべきか」の根拠が明確になる

 2. 価格変動への自動対応

できること:

  • 毎回の仕入れ価格を入力すれば、最適な配合が自動計算される

    • 秋(収穫期):北海道産57% + 輸入43% → 単価764円/kg

    • 夏(高騰期):北海道産25% + 他県産75% → 単価1025円/kg

    • 品質80点以上は守りながら、配合比率が自動的に変化

発見された戦略的示唆:

  • 季節間で25%もコスト差がある → 秋に多めに仕入れて在庫を持つ価値

  • 配合比率が季節で大きく変わる → 「この時期はこの配合」というマニュアル化が可能

  • 価格が高騰した原料は自動的に使用量が減る → 手動調整の手間が不要

■ システム化への道筋

レベル1:表計算ソフト + 手動計算(現在検討中)

  • 毎月の価格データを表計算ソフトに入力

  • Pythonスクリプトを実行して最適配合を計算

  • 結果を見て発注・製造指示

レベル2:半自動システム

  • 仕入れ業者からの見積もりデータを取り込み

  • 生産計画(何をいくつ作るか)を入力

  • ボタン一つで最適配合と発注量を計算

レベル3:統合システム

  • 受注データから生産計画を自動生成

  • 在庫管理システムと連携

  • 毎週/毎日の最適配合を自動更新

  • 実績データを蓄積して、品質スコアの精度向上

■ 実現のために必要なこと

データ整備

  1. 各原料の価格履歴(過去1年分程度)

  2. 製品の生産実績(何をいくつ作ったか)

  3. 品質評価の定量化

    • 現在の配合での品質スコアを基準点として設定

    • 試作品での官能評価を数値化(5段階評価→100点換算など)

初期テスト

  1. 現在の配合を「ベースライン」として数値化

    • 例:「現在のこしあん配合(北海道100%)= 品質95点」

  2. 小ロットでの試作

    • モデルが提案する配合(例:北海道50% + 他県50%)を実際に作る

    • 品質評価を実施(職人の評価 + お客様テスト)

  3. モデルの精度検証

    • 計算上の品質スコアと実際の評価が一致するか確認

    • ズレがあれば、品質スコアの数値を調整

■ 次のステップのご提案

A様の状況に応じて、以下のような進め方が考えられます:

パターンA:まず小さく試す

  • 製品(例:つぶあん) で試作テストを実施

  • 3~5パターンの配合を作り、官能評価で品質スコアを決定

  • 数ヶ月運用して、データの精度を確認

パターンB:全体設計を先に固める

  1. 全製品の品質基準と原料リストを整理

  2. 過去1年分の価格データを収集

  3. 年間の生産計画をもとに、シミュレーションで効果試算

パターンC:外部専門家との連携

  1. Gurobiのテクニカルアカウントマネージャーに相談

  2. より複雑な条件(在庫管理、賞味期限、季節変動など)を含めた設計

  3. 本格的なシステム化の検討

■ ご質問

  1. 今回の例を見て、「うちでも使えそうか」の感触はいかがでしょうか?

  2. まず試すとしたら、どの製品・どの原料から始めるのが良さそうですか?

  3. 品質の数値化について、現在何らかの評価基準(例:社内の品質チェック項目)はありますか?

  4. 仕入れ価格のデータは、どの程度蓄積されていますか?(過去の見積書など)

 これらを教えていただければ、より具体的な導入プランをご提案できます。

また、もし「こういう条件も考慮したい」(例:賞味期限、保管コスト、発注ロットの制約など)があれば、それも含めたモデルに拡張できますので、お聞かせください。

Aさん

ご丁寧なご説明をありがとうございます。

具体的な例を見せていただいたおかげで、だいぶイメージが湧いてきました。特に、複数の製品で原料をどう配分するか、季節によって配合を変える考え方など、まさに日々の現場で直面している悩みそのものです。(後編へ続く)


▼ Gurobot連載第3回|意思決定は“再現可能”にできる(後編)はこちら
https://www.gurobi.com/jp_blog/category01-007-02/

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